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her

映画のDVD借りてきました。「her」。一度目は字幕で、二度目は吹き替えで。
一度目はピンとこなかったものの、二度目でいろいろと感心しました。シナリオ上手いですわ、脚本賞取るの、納得。
映画の視点がセオドアにあるとも取れるし、サマンサにあるとも取れる、妙なねじれ方が凝ってます。
序盤に「かーちゃんが寝てるところだけをずっと撮ってるドキュメンタリー映画」がギャグみたいに挿入されますが、あれ、その場限りのくすぐりじゃなくて、セオドアが寝てるときのサマンサの見ているものそのものだったんですね。
そういう細かいしかけが、あちこちにちりばめてある。

そういう細かさの中で、私が気になっていたのが「子供」という要素で、シナリオ上の言葉としてはまったく出てこない、なのに、序盤のわりとえげつないボテ腹ファックを筆頭に、やけに映像的に子供を何度も何度も繰り返し押してくるのは、いったい何の意味があるのだろうと思っていたのですが、ああ、あれつまり、「肉体のある者とない者が恋愛したって、子供できないじゃん?」って断絶をずっと暗示してたってことだったんですね。
しかもそこでおわらず、その断絶を乗り越えた結果物までさらりと提示する、先鋭ぶりがすげえ。
子供、できちゃうんですね。二人の子供が。
セオドアの手紙とサマンサの発案・選集で編まれた「紙の本」。あれ、ただのプレゼントじゃなく、二人の子供なんですよ。「私、できちゃったみたい」、そういう喜び方ですよ、本の事を告げられた時のあの演技は。
紙の本という、記号と物体の融合物の中でも相当にアナクロなものが、人間と人工知能の子供…というのも、不思議なものです。

ほんとにそれを子供と呼べるのかどうかは人それぞれ意見があるでしょうが、それでも、「人間と人工知能だけど、子供、作っちゃったよ」をやってしまったのが、素晴らしい。「人間と人工知能の恋」なんて言われても、米国では新鮮だったのかもしれないものの、この日本に住んでると「ありふれたジャンクなテーマ」でしかないんですが、結婚以上のことまで描いてしまう、こういう形で子供作っちゃうとこまで描いてしまうのは、日本でもなかなかないんじゃないんじゃないでしょうか。

とはいえ、私の中でもっともひっかかったのはその場面ではありません。
最終的に訪れる二人の別れよりも、悲哀を感じてしまった場面は、イサベラっていったっけ。OS美女サマンサの、外の人役をやった人。あの人。あの人のことでした。
少ししか出なかったけど、印象的でした。
あの人の孤独は、いったい誰が癒してやれるのだろう。
主人公達よりも、あの人のことが、胸にひっかかって離れない。

ということで、けっこう面白かったです。でも、期待したほどははまれなかったかな…
スパイク・ジョーンズは、「アダプテーション」が最高の映画で、これの感覚を期待していたのですが、「怪獣たちのいるところ」もこの作品も、「アダプテーション」ほどには虜にさせられませんでした。
多分、私はスパイク・ジョーンズよりも、脚本担当だったチャーリー・カウフマンの感覚により強く惹かれているのだと思います。
ということで、私は「脳内ニューヨーク」をみたいみたいと思いつつ、いまだに見てないので、それを次は借りましょう。
あと、もう一度黒沢清の「回路」に挑戦する。挑戦するのだ。

でも、なんでこの映画のタイトルは「she」じゃなくて、「her」なんだろう。
そこんとこ、いまだによくわかりません。

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プロフィール

佐々木バレット

Author:佐々木バレット
佐々木バレットと申します。舟名義で活動することも。
しばらくお休みしていましたが、マンガ活動再開しています。

現在、主にコミックMateで活動中。
またコミックウォーカー上で、舟名義でホラー漫画「カタリベ」の漫画も担当しています。

HPはこちらになります。
You Look'in 華々しき Rock'n Roll WOW!
また、拙著『おさなブライド』は、現在電子書籍版がDMMなどで配信されています。

ご連絡いただく際には、下記あて先の「$」を「@」に置き換えたメールアドレスにお願いいたします。
sasakibullet$mail.goo.ne.jp

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